宝登山神社(寶登山神社・ほどさんじんじゃ)は、長瀞町(ながとろまち)の宝登山山麓にある日本武尊(やまとたけるのみこと)ゆかりの神社です。秩父神社、三峯神社とともに「秩父三社」と呼ばれています。
諸難除けの神社であり、厄除け、火災除け、盗賊除けなどの御利益があるといわれます。また、福を招く開運・金運の神社としても知られています。
奥宮は宝登山山頂にあり、ロープウェイ利用またはハイキングで登ることができます。秩父盆地が見渡せる展望の良い山で、ロウバイ園・梅百花園などもあります。
神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと)-神武天皇
大山祇神(おおやまづみのかみ)-山の神
火産霊神(ほむすびのかみ)-火の神
長瀞駅を降りると正面に見える山が宝登山です。宝登山神社はこの麓にあり、駅前から西に向かう道が神社へと続いています。
国道140号線と交わる「長瀞駅前」交差点のところには、白い大きな一の鳥居(大鳥居)があります。
長瀞駅は裏手(東側)が長瀞渓谷の「岩畳」エリアです。舟で川を下る「長瀞ラインくだり」のほかラフティングなども盛んで、駅前にはみやげ物店等が立ち並びます。参道沿いにも、かき氷で有名な阿左美冷蔵の寶登山道店などがあります。
長瀞は「日本さくら名所100選」に選ばれています。宝登山の参道も桜スポットのうちの一つで、桜や松の並木道になっています。
また、参道の途中にある旧新井家住宅・郷土資料館へ向かう道を入ると、資料館の先に「花の里」があります。ここでは毎年、春にはハナビシソウ(花菱草)、秋にはコスモス類(キバナコスモスなど)が育てられており、花畑風景が見られます。
上り坂の参道を進むと、駅から700mほどで神社に到着です。神社前はロータリー型の交差点になっています。
一の鳥居(大鳥居)
桜の季節の参道(神社方向)
桜の季節の参道(駅方向)
ロータリーから境内を進むと記念館(斎館)前になります。砂利敷きの広場になっていて、普段は参拝者用駐車場として利用されています。
ここには、町の天然記念物に指定されているクロマツ・アカマツが並んでいます。大正13年(1924年)に昭和天皇の御成婚をお祝いして植樹されたと伝えられ、「相生の松」と呼ばれます。
また記念館の横には池があります。春には桜やツツジ、秋には紅葉が彩りを添えています。
記念館前
記念館横の池
二の鳥居は記念館の奥にあります。鳥居から先は木立に囲まれていて、厳かな雰囲気が感じられます。左側に手水舎があります。
階段を登ると拝殿前です。拝殿に向かって右側には神札所、左側には神楽殿があります。
権現造りの社殿は2009年(平成21年)に修復されました。正面の色鮮やかな龍などの彫刻が目を惹きつけます。社殿にはそのほか「二十四孝」や「三国志」をもとにした見事な彫刻が施されています。
本殿の裏側にもまわれますので、行ってみましょう。
日本武尊が宝登山に登る前にみそぎをしたと伝わる「みそぎの泉」(玉の泉)や、尊をお祀りする日本武尊社があります。
また社殿横から裏側にかけて、水神社、藤谷淵神社、天満天神社などもおまつりされています。
本殿裏側にも鳥居があり道が続いていますが、こちらからは宝玉稲荷神社、別当寺であった玉泉寺を経て記念館方面に戻ることができます。
二の鳥居
手水舎と階段
社殿の彫刻
神楽殿
秩父地方には、第12代・景行天皇の皇子である「日本武尊」(やまとたけるのみこと)の東征にまつわる伝承が数多くあります。秩父のシンボルである武甲山には、甲(かぶと)を奉納したとされ、三峯神社や椋(むく)神社の創建などにも登場します。
宝登山神社は今から約1900年前、日本武尊が東征の際に神武天皇・山の神・火の神をお祀りしたのが起源と伝えられています。
尊の一行が山を登る途中、山火事に囲まれました。このままでは命が危ないという時、多くの白犬・黒犬が現れて火を消し、尊を助けました。尊は山犬たちを「神様のお使い」と考え、この山を「火止山」(ほどやま・ほどさん)と名付け、神をお祀りされたといわれています。
日本武尊社
宝登山神社は、秩父地方にある狼(オオカミ)信仰の社の一つでもあります。神様のお使い「眷属」(けんぞく)として「御眷属さま」や、「山犬さま」「お犬さま」と呼ばれるとともに、神様「大口真神」(おおくちのまかみ)とも呼ばれ、崇拝されています。
日本武尊を助けた山犬たちはこの御眷属さまで、火災除け・盗賊除け・害獣除けなど、様々な災いを防ぐと言われています。
山頂にある奥宮前の一対の像は、狛犬ではなく山犬さまです。また宝登山神社には、御眷属さまを1年間お借りするお札(御神札)があります。
平安時代の弘仁年中(810~824年)、山頂が金色に輝き、宝珠が光り輝き山上に飛翔したと伝えられています。このことから宝が登る山「宝登山」とされるようになり、「火止山」から改められたと言われます。
また秩父地方からは、慶雲5年(708年)に自然銅が献上されています。「和銅」に改元され、その後「和同開珎」が発行されました。
この銅が採掘された場所は秩父市黒谷の和銅採掘遺跡が有力と考えられていますが、宝登山周辺にも銅の採掘跡が複数あります。
宝登山の周辺には、南側の皆野町「金崎」、北西側の皆野町「金沢」をはじめ「金」を含む地名がいくつもあり、「宝登山」(火止山)も金属産出に関係している名前ではないかと考えられています。
宝登山神社では、毎年紅葉の季節に境内のライトアップがあります。上長瀞駅近くの「月の石もみじ公園」のライトアップと同じ頃です。
二の鳥居
記念館横の池
関越自動車道「花園IC」から国道140号線経由で約18km。
「長瀞駅前」交差点を右折し、約500mです。
寶登山神社
http://www.hodosan-jinja.or.jp/
宝登山
山頂からは秩父盆地が展望できます。宝登山神社奥社があり、早春のロウバイ(蝋梅)の花でも知られます。
長瀞渓谷「岩畳」
国の名勝・天然記念物。ライン下りなどが行われています。
長瀞 桜並木
春には宝登山神社参道も桜色に染まります。長瀞は「日本さくら名所100選」に選ばれています。
三峯神社
秩父市大滝地域 奥秩父の山上に鎮座。秩父三社。同じくオオカミ信仰があります。
秩父神社
秩父市 中心市街地に鎮座。秩父三社。
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