[写真]長瀞の岩畳

長瀞渓谷は、埼玉県秩父郡長瀞町にあります。景勝地として知られており、多くの人が観光に訪れます。

秩父線長瀞駅付近では、荒川の西岸(左岸)に「岩畳」が広がり、その隣を岩を浸食した荒川が流れています。向かい側の東岸(右岸)には「秩父赤壁」と呼ばれる岩壁などがそびえています。四季の変化に合わせて、いろいろな美しさがあります。

また、長瀞ライン下りのほか、カヌー・カヤック・ラフティングなどの川下りも行われています。

[写真]長瀞渓谷
長瀞渓谷

[写真]舟からみた岩畳付近の景色
舟からみた岩畳付近の景色

国の名勝・天然記念物

この付近の荒川は、1924年(大正13年)12月9日に「長瀞」として国の名勝・天然記念物に指定されています。長瀞渓谷のうち、指定区域は親鼻駅近くの親鼻橋から野上駅近くの高砂橋までです。岩石や草木の採取などは禁止されています。
長瀞駅は指定区域の中間点付近にあたります。ここから上流側に岩畳が広がります。

岩畳には荒川の流路跡や岩の割れ目などにできた沼や湿地もあり、「四十八沼」と呼ばれています。

[写真]岩畳エリア
岩畳エリアの長瀞渓谷

[写真]岩畳と荒川の流れ
岩畳(右側)と荒川の流れ

[写真]四十八沼
岩畳上の「四十八沼」

「岩畳」の岩石

長瀞は、三波川変成帯(さんばがわへんせいたい)という地質帯に属しています。これは九州から関東までを貫く「中央構造線」に南側で接する地質帯です。プレートの運動により地下深くに沈み込んだ岩石が、低温高圧型の変化をしてできた片岩(へんがん・結晶片岩。変成岩の一種)が分布しています。

岩畳を構成する岩石は、地下約20~30kmくらい、6000~7000気圧くらいの圧力と、200~300℃くらいの温度による変成をしてできた片岩で、その後地上に現れたものと考えられています。

岩畳の少し上流には、埼玉県立自然の博物館があります。地質のことを知りたいときは上長瀞駅で下車して、先に博物館に寄ってから岩畳に移動するのがお勧めです。

博物館前には「日本地質学発祥の地」の碑があります。

[写真]岩畳
岩畳

「岩畳」の藤

岩畳には藤が自生しており、4月下旬頃に見頃を迎えます。岩畳周辺はもともと「藤谷淵」と呼ばれており、明治の途中までは藤谷淵村がありました。

藤棚とは違う自然に育った姿が楽しめます。また、岩畳の新緑も美しいです。

[写真]岩畳の藤
岩畳の藤

[写真]藤の花とこいのぼり
藤の花とこいのぼり

長瀞渓谷の紅葉

奥秩父の紅葉が見頃を過ぎた頃、長瀞渓谷の紅葉が見頃を迎えます。

岩畳は秋の紅葉も美しく、荒川の流れと紅葉との色の対比が印象的です。上長瀞駅そばの上長瀞河原・月の石もみじ公園の紅葉とあわせて訪れるかたも多いです。川沿いのルートで歩いて巡ることができます。

[写真]長瀞渓谷の紅葉
長瀞渓谷の紅葉

[写真]岩畳と東屋
岩畳と東屋

長瀞ライン下り・川下り

長瀞渓谷は、川岸から眺めるだけではなく、舟から楽しむこともできます。

秩父鉄道の「長瀞ラインくだり」をはじめ、複数の会社でそれぞれ川下りが行われています。上流側コースが、親鼻橋付近から岩畳下の乗降点まで、下流側コースが、岩畳下の乗降点から高砂橋付近までです。両方を合わせたコースもあります。

シーズンは春から秋ですが、冬季も一部の運行をしている会社があります。なお、受付・案内所は会社により異なります。

また、長瀞渓谷ではカヌー・カヤック・ラフティングなども楽しまれています。

[写真]長瀞ライン下り
長瀞ライン下り

[写真]秩父線荒川橋梁
上流側コースで見られる秩父線荒川橋梁。

[写真]舟からの眺め
舟からの眺め。

[写真]長瀞ライン下り
流れの速いところと、ゆっくりのところがあります。

増水の時だけではなく渇水の時などにも、運行ができない場合があります。川下りを予定されている時は、あらかじめ状況のお問い合わせをお勧めします。

水難事故防止

長瀞付近の荒川は、流れが緩やかな場所がある一方、急流もあります。また、緩やかそうに見える場所でも、水面下では速くて複雑な流れが潜んでいたり、急に深くなっていることがあります。

危険な場所には近づかない・増水時の川に入らないといったことのほか、川遊びをする時にはライフジャケットを着用することなどが呼びかけられています。また、官民合同で救助訓練や水難事故防止活動が行われています。

動画「川の危険ポイントと安全対策」(WaterSafetyNippon)
http://youtu.be/id--Zxliz2Y

【参考】動画「安全な川遊びのために【第1部 子ども向け】」(子どもの水辺サポートセンター)
http://youtu.be/PuGwqo0eyYU

岩畳へのアクセス

秩父線「長瀞駅」から岩畳まで、徒歩約5分(300m)

改札口を左手に行き、駅最寄の踏切を渡ります。岩畳前の商店街があるので通り抜けると、岩畳へ下りる階段に到着します。

なお、長瀞渓谷は長いので目的地によっては、下流側の「野上駅」、上流側の「上長瀞駅」「親鼻駅」からアクセスしたほうが良い場合があります。

リンク

長瀞町観光協会
http://www.nagatoro.gr.jp/

長瀞ラインくだり コースのご案内(秩父鉄道)
http://www.chichibu-railway.co.jp/nagatoro/corse.html

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宝登山神社
秩父線を挟んで岩畳とは反対側にあります。宝登山の麓に鎮座。秩父三社の一つ。

宝登山
山頂からは秩父盆地が展望できます。宝登山神社奥社があり、早春のロウバイ(蝋梅)の花でも知られます。

長瀞 桜並木
春の長瀞は桜色に染まります。長瀞は「日本さくら名所100選」に選ばれています。